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各事業年度における所得の組み換え~繰り戻し、課税の繰り延べなど~ (甲府法人たより153号より抜粋)
東京地方税理士会 甲府支部 税理士 前田 博人

  企業経営において、納税も支出の一つととらえることができます。また、納税には期限があるため、そのときの経営状況によっては資金繰りにも影響を及ぼすこともあるでしょう。
 そこで、各期において納税額を限りなく抑えることは経営上、当然必要となってきます。それだけでなく、複数事業年度では課税所得(※1)の額の合計額は同額でも、納税する時期を翌事業年度に繰り延べることにより、資金繰りが円滑になり、もって資金調達コストを抑制することもできるばかりか、ときに計算される税額まで異なる場合があります。
 以下の規定は、中小法人等におきましては、お馴染みの規定です。節税対策というよりも、むしろ「所得の組み換え」とお考えいただいた方が適正かもしれません。
※ 会計上の税引前利益とは異なる。簡記すると、「法人税確定申告書別表一」に転記する金額。以下同じ



■ 着眼点
●欠損金の繰り戻し還付
 所得税の税率は超過累進税率ですので、税率を意識した対策は王道です。しかし。法人税においても、所得800万円以下につき、一定の場合を除き、軽減されています。前事業年度、もしくは当事業年度において翌事業年度の見込みを織り込んでおくことで、法人税においても税額のコントロールが可能になります。

●欠損金の繰越
 事業年度を単位として、赤字決算になった場合には、翌事業年度以降、連年で考えた、企業の担税力を考慮してその赤字に相当する金額(欠損金)を次年度以降繰り越すことを認めています。つまり、この繰越欠損金を次年度以降の各事業年度の所得の金額の計算上、所得が発生した場合に通算することができます。ただし、この通算できる繰越欠損金は、青色申告法人が対象で、欠損金が生じた事業年度、また中小法人等以外の場合には、繰越欠損金に一定の制限がかかりますのでご注意お願いします。

■ 税額の計算上の規定
●欠損金の繰り戻し還付
 繰り戻し還付は、将来への繰越とは逆に、こちらの欠損金を、前事業年度の所得と通算し、法人税等の還付を受けることもできます。もちろん、繰り戻し還付をしなくても、上記の繰越欠損金の規定がありますので、翌期以降に欠損金を繰り越して、翌期以降の課税所得と通算することができます。したがいまして、以下のケースでは検討をする必要があります。
①【前事業年度に欠損金を繰り戻す】
 前事業年度の課税所得が800万円を越えている。
②【翌事業年度に欠損金を繰り越す】
 前事業年度の課税所得は800万円を越えていないが、当該事業年度の翌事業年度に800万円を超える課税所得がでる「見込み」がある。
 2つのケースにおいて、前事業年度〜翌事業年度の通算した課税所得は同じでも、繰り戻し還付を適用するかどうかで、算出される税額には差が生じます。後者の翌期以降のことはあくまで、「見込み」であります。800万円を超える課税所得どころか、その繰越欠損金を上回る所得が発生するか否かは保証できませんので、②につきましてはあくまで検討という視点で掲げました。


■課税所得の計算上の対策
上記の規定の他に、以下の規定は、課税を繰り延べることによる資金繰りの改善と、先の法人税の税率を念頭に置いた課税所得800万円のボーダーを意識した適用税率の調整ということもできます。
●倒産防止掛金など
 こちらの倒産防止掛金などの支出につきましては、積立金支出額の損金算入が可能です。当然ですが、解約時には解約保険料に相当する部分が収入となり、課税の対象になります。ただし、その要件であります「法人税確定申告書別表十(六)」を添付することと、一定期間継続して積立てないと解約時に元本割れすることがあることに、ご注意お願いします。
●(参考)積立保険金の損金算入
 生命保険金の損金算入につきましては、スキームの発案→税法改正が繰り返されるために、税法が言うなれば「ツギハギ」状態となっております。保険加入につきましては、損金算入の要件ばかりを念頭におきますと、主題である保障設計がぶれてしまうことばかりか、損金算入が否認される等の税務リスクが高まることが考えられます。

〈ご注意〉
 上記の規定におきましては、中小法人等およびそれ以外と区分して記載しておりません。また、改正等の時期の起点も示しておりません。近年、コロナ禍を考慮した改正により、本来、適用対象「外」のものが時限立法により適用「可能」となっている規定がありますので、ご注意お願いします。


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