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令和2年(2020年)分所得税の確定申告について(甲府法人たより149号より抜粋)
東京地方税理士会 甲府支部 税理士 小林 宏至

Q1.
令和2年分所得税の確定申告についての改正点を教えてください。


A.
 令和2年分所得税の確定申告より適用される改正では「控除」について重要な改正がなされました。今回はその概要を説明していきたいと思います。
 「控除」にかかる主な改正点は次のとおりです。

青色申告特別控除
  改正点「青色申告特別控除額」は従来65万円・10万円のいずれかでしたが、65万円・55万円・10万円の3種類に改正されます。
 基礎控除額は改正前、全ての人が一律に38万円控除を受けられましたが、改正により10万円の増額と基礎控除の適用に所得制限が追加されました。
 合計所得金額が2,400万円以下の人は、従来の38万円から48万円へ引き上げられますが、2,400万円超の人は控除額が段階的に引き下げられます。(図参照)



給与所得控除
 改正点 「給与所得控除額」が原則一律10万円減額改正されます。
 給与所得控除額が一律10万円引き下げられ、給与所得控除が適用される上限額が改正前の給与等収入1,000万円超・給与所得控除上限額220万円から給与等収入850万円超・給与所得控除上限額195万円に引き下げられます。

公的年金等控除
  改正点 「公的年金等控除額」が原則一律10万円減額改正されます。
 公的年金等に係る雑所得以外の合計所得が1,000万円以下の場合は10万円引き下げとなり、1,000万円超2,000万円以下の場合は20万円、2,000万円超の場合は30万円引き下げられ控除額に上限が設けられました。

所得金額調整控除
 改正点 給与所得控除の上限額引き下げと公的年金等控除額引き下げに関連した措置として創設されます。
 給与等収入が850万円超の子育て・介護をしている人や給与所得と年金所得の両方がある人が対象となります。
 給与等収入が850万円超の給与所得控除額が引き下げられるため、子育て・介護をしている人の給与所得控除の見直しによる負担増が生じないようにするための措置となります。
 給与と年金の両方がある人は、給与所得控除額・公的年金等控除額の両方が10万円引き下げられるため、基礎控除額10万円引き上げを超えて控除額が減額となり、このままだと負担増となります。このような場合の負担増が生じないようにするための措置となります。

ひとり親控除・寡婦控除
 改正点 「寡婦控除」「特別の寡婦の控除」「寡夫控除」の3つの控除が、「ひとり親控除」と「寡婦控除」の2つに統合されます。
 「ひとり親控除」は、次の三要件に該当する人が対象となり35万円控除が受けられます。
 ①事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないこと
 ②生計を一にする子がいること(子の合計所得金額48万円以下)
 ③合計所得金額が500万円下であること
 「寡婦控除」は、子がいない寡婦について従来通り27万円の控除の適用を受けられますが、所得制限が設けられ所得が500万円以下の場合にのみ対象となります。

まとめ
 以上のとおり、「控除」については多くの改正が行われました。前年まで控除適用外の人が適用となったり、逆に控除適用だった人が適用外となることもあります。「控除」の有無で、納税額が変わります。どのように改正されるのかを把握し、確定申告に向け準備しましょう。又、不明な点がある場合には身近な税理士に相談して下さい。


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